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​臨済宗妙心寺派

April 02, 2017

葬儀の根源

 古来日本人は、死んだばかりの霊魂は「荒魂」(あらたま)となると信じられていました。「荒魂」とは、天変地異を引き起こし、病を流行らせ、人の心を荒廃させて争いへ駆り立てるとされ、「和魂」平和や調和、人と親しみ交わる力を司り、徳を備えています。

 

 天変地異を引き起こし、人の心を荒廃させる祟りを起こす側面(荒魂)があれば、五穀豊穣をもたらし、平和、調和、恵みをもたらす側面(和魂)もあるので、荒魂の力を鎮めて和魂に変えようと供物を捧げ、儀式や祭を行い祀ってきたと考えられています。和魂はさらに幸魂(さちたま)と奇魂(くしたま)に分けられ、幸魂は運によって人に幸を与える働き、収穫をもたらす働きであり、奇魂は奇跡によって直接人に幸を与える働きであるとされています。幸魂は「豊」、奇魂は「櫛」と表され、神名や神社名に用いられています。

April 02, 2017

仏教の葬儀

 葬儀は、遺族や生前ご縁があった参列者との告別式であり、宗門における葬儀は、逝去された方が死後、仏様の世界に生まれ変わり、生き続けるために仏戒を授け引導を渡し送り出す神聖な儀式であります。私たちは、いつもご先祖様が傍にいて守ってくれるという観念が強く、死後ご先祖様のところに行くと信じられています。

 日本で現在行われている仏教で見られる葬儀の根源は、釈尊の涅槃直前の様子や釈尊の葬儀を起源としていると言われています。インドでは、火葬・土葬・水葬・林葬と4種類あります。釈尊は火葬され遺骨は、周辺8大国の王たちの求めで分けられた。火葬は、香木を積み重ね、その上に棺を安置し、油を注いで火をつけて火葬にする。この香木は火葬の薪に使用するとされています。

 

 色々な諸説がありますが、仏様は香りを食べると言われており、この香りが良ければ良いほど供養になる。また、香を焚くと亡くなった大切な方(ご先祖様)が自分の目の前に戻ってくるとも言われています。日本では、葬儀・法要の時に抹香を手に取り火にくべ、焼香をおこない、この香りに自分の真心を捧げることが供養となると信じられているのです。

 

 インドから始まる仏教は中国へ渡り、中国仏教となり、中国仏教が日本に渡り、古来よりある神道と地方風習と中国仏教が混ざり、日本仏教となっております。人の最後の送り方は地方で様々で異なりますが、間違いではありません。

April 02, 2017

弔いとは

 自分の父親・母親の最後を迎えた時、どのように送りたいのかを家族で考えるのです。喪主は、最後に挨拶をされます。「父母が笑って人生を全うできたのは、今日この場にいる家族、親族や友人がいたからです。そして、この地域に住む町内の方にも仲良くして頂いたからです。父母に成り代わりまして御礼を申し上げます。ありがといございました。これからも父母同様にご指導ご鞭撻を頂けますよう、よろしくお願いします。」

 

 誰でも同じである。父母がいます。兄弟がいます。親族がいます。そして様々な苦楽を共にした友人がいます。同じ地域に住む町内の方々がいます。そして、知らず知らずに自然の恩恵を受け、私たちは生きている・・・いや、生かされているのです。

 葬儀を通して「人」1人が生きていくのにどれだけの多くの「人たちに支えられている」のか、どれだけ多くの「見えない力に支えられている」のかを感じることができるのではないでしょうか。このことに気づくことができれば「感謝」という言葉が「おもいやり」「おかげさま」という言葉が自分の中に本当の意味で沁み込んできます。そして、親に対する最後の孝行は、その遺体を最後まで守り、見届けることです。

 

 今一度、自分の先祖が、両親が、何を大切にして、何を守ってきたのか、何を願っていたのか「とむらう」ということを考えるべきだと強く思っています。

 最後に葬儀作法は、地域のしきたりにより、やり方や考え方は様々で、社葬のような大きな葬儀から、ご家族だけでお別れをしたいというご要望まで、可能な限り施主様のご要望にお応えしていきたいと考えています。分からないこと、迷われることがあれば、まずは、長楽寺にお気軽にご相談下さい。

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Although the world is full of suffering, it is full of the overcoming of it.

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